ジユウダイ

「手首は上げて。足一本出してみよう。」
「頭の動きに合わせて、もう少し大きく!」
やまびこ座の扉を開けると、講師の西川古柳さん(八王子車人形西川古柳座五代目家元)の声。太夫の語りが流れる中、人形遣いの中高生たちが細かな所作を修正していきます。これは、毎年開催されている人形浄瑠璃講習会のユースクラス(現在12名が参加)の稽古風景。この日は、4日後に開催される古典の日制定記念人形浄瑠璃公演『座・競演vol.4』で上演する、『壺坂観音霊験記 山より谷底の段』の稽古中でした。

3人で人形を操る人形浄瑠璃の場合、人形遣い全員が、その登場人物の性格を理解していないと形になりません。「3人の動きを合わせることは難しいけれど、感情を表現する演技もできるようになりたい」とは、盲目の沢市の主遣いを担当していた田中碩人さん(高3)。最後に西川講師から「芝居から教えられることはたくさんあるので、座・競演の出演劇団の作品をよく見て、いいものを覚えましょう」と挨拶があり、この日の稽古が終了しました。

練習の様子 練習の様子

さて、10月13日〜14日にやまびこ座で開催された『座・競演』は、南あわじ市から500年の歴史を誇る淡路人形座と創部61周年を迎えた兵庫県立淡路三原高等学校郷土部を招き、札幌からはさっぽろ人形浄瑠璃芝居あしり座とユースクラスが出演。計4座による競演となりました。
淡路三原高校郷土部のお話によると、南あわじ市では幼稚園の頃から淡路人形座の公演を見る機会があることに加え、淡路三原高校・三原中学校・南淡中学校に「郷土芸能部」があり、その指導はプロが担当。島内外、海外での公演も行っているそうです(すごい!)。その彼らによる『増補大江山 戻り橋の段』では、太夫も三味線ももちろん高校生。若々しい語りが新鮮でした。そして、ラストを飾った淡路人形座の『戎舞』はさすがの一言。(いつか淡路人形座の地元で見てみたい...)人形解説&体験もとても楽しい時間に。

練習の様子

左上段、中央上段  :  淡路三原高校郷土部『増補大江山 戻り橋の段』
右上段、中央中段  :  淡路人形座『戎舞』
左下段、中央下段  :  ざ・にんぎょうじょうるりユースクラス『壺坂観音霊験記 山より谷底の段』
右下段  :  さっぽろ人形浄瑠璃芝居あしり座『日高川入相花王 渡し場の段』
上記写真すべての撮影:若松和正

この競演シリーズを企画された、あしり座代表の矢吹英孝さんの挨拶には「伝統芸能の魅力のひとつには、大人と子どもが真剣に向き合い、次世代に文化をつなげていくという作業があると考えます。(略)淡路には到底及ぶものではありませんが、我々も北海道という風土の中で、北海道らしく次代を担う子どもたちを育て、つなげていきたいと考えております」とあります。前述の田中さんからは、小学3年生のときに「ふれアート」(やまびこ座で開催されている伝統文化舞台体験事業)で人形浄瑠璃の魅力に開眼したことを聞き、継続して受講している子たちが年々上達している様子を見て、「文化をつなげる」という言葉を実感したのでした。今回、国内外で活躍する一座や同世代の郷土部との共演を終え、ユースクラスのメンバーはどんなことを感じたのでしょうか。来年1月25日の発表会も楽しみですね。

★あしり座の定期公演も、来年2月8日〜9日にやまびこ座で開催。ぜひ足を運んでみてください。

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